People

結果を出す指導力
Teaching Skills

博士(理学)、第1種放射線取扱主任者 ( 准教授)
松尾 龍人

科学としての放射線、技術としての放射線 最先端科学から最先端技術まで、放射線は益々私たちに重要になっていきます。

放射線というと、病院でのレントゲン撮影や原子力発電を思い浮かべる人が多いでしょう。どちらも、私たちが健康でいるため、現代の生活に不可欠な電気を作り出すため、と生活に直接役立つ技術です。しかし、放射線は技術分野だけでなく、 科学研究においても広く使われています。私は、 放射線(X線や中性子線)を利用して、アルツハイマー病やがん等の疾患に関係するタンパク質の形や動きを調べることで、疾患の起こる仕組みを分子や原子のレベルで明らかにしようとする研究を進めています。タンパク質の形がこう変わるから、タンパク質の中の原子がこういう動きをするから細胞に異常が起きるんだ、ということが少しずつ分かってきています。将来、原子の動きを操作することで疾患を予防したり治療したりすることができるようになるかもしれません。一方、日々得られる研究結果が生活に即役立つということはなく、疾患の仕組みを明らかにするには相当の年月に及ぶ研究が必要です。
同じ様に、私たちが大学で学ぶ学問体系は、一朝一夕で出来上がったものではありません。数多くの科学者が知的好奇心に基づき長い年月,あるいは生涯をかけて見つけ出した知識の総体です。それが更に、長い年月をかけて放射線の医学利用など実用的な先端技術として身を結び、私たちの健康や生活の利便性向上に寄与しているのです。従って、将来も持続的に人類が幸福な暮らしをしていくためには、このような互いに目的と性質が異なる科学と技術の関係や重要性を、私たち一人一人が理解し両者を発展させていく土壌を築くことが重要です。すぐに役立つ訳ではない基礎科学が軽視されがちな昨今の風潮の中、基礎科学分野に身を置く一研究者として、私は指導する学生に、国家試験を乗り越え医療分野で活躍するための専門知識を身につけてもらうと共に、人類の将来を支える上で不可欠な科学と技術の両者を寛容する感覚を養ってもらえるように教育していきます。

2024.4.19

卒業生たちの仕事
Desired job

診療放射線技師(診療放射線学科卒業)
赤石 憲彦

すべての患者さんに、安心を。現状維持では、仕事になりません。

毎日、約70名の患者さんが当院で放射線治療を受けています。手術後の再発を防ぐ治療や臓器の形態を保つ温存治療など、その内容はさまざまです。最先端の医療機器を扱っていますので、医療の進歩とともに日々、自分自身で学び、知識や技能を磨いていく必要を感じています。照射位置の再現性やミリ単位の細やかな調整。正確な照射をおこなうためには、日々の勉強が欠かせません。
現状維持では、仕事にならないのです。

診療放射線技師は、医師や看護師ほど患者さんと接することはありません。しかし、だからこそ、患者さんとのコミュニケーションが大切だと思っています。丁寧に、正確に。そして、患者さんが安心して治療を受けていただくには、なにより技師である私自身がひとりひとりの患者さんをちゃんと見ることが大切。どんな接し方をすれば患者さんがより良い治療時間を持てるか、心を砕くことが必要です。どんなに、こちらが忙しくても、患者さんには関係のないことです。

診療放射線技師として仕事を始めて、5年になります。現在は、後輩を指導する役割も担っています。
先生方から厳しい指導をいただき、仲間と食堂で遅くまで学び合った学生時代。人と人とのコミュニケーションの大切さ、厳しい品質管理や機器の扱い方。大切なことは、学生時代からすでに学び始めていたことです。日々、バージョンアップを図りながら、すべては、患者さんのために。これからもプロとして役割を果たしていきます。

2018.6.8

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