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リハビリテーション学科 理学療法学専攻

2021.7.1

「理学療法学」に金口瑛典助教の総説論文が掲載されました。

「理学療法学」に金口瑛典助教の総説論文が掲載されました。

タイトル:固定・固定除去による関節の炎症に関する基礎研究の動向と臨床への応用

掲載紙:理学療法学

著者:金口瑛典

論文の概要:私たちの研究グループは、関節固定により生じる関節拘縮の形成や回復過程を、動物モデルを用いて調べてきました。この総説は、自験例の研究成果を中心に、固定中および固定除去後に生じる関節内の変化と、それに対する様々な介入の影響を概説したものです。関節固定によって生じる関節拘縮には、骨格筋による拘縮(筋性拘縮)と関節包などの関節構成体による拘縮(関節性拘縮)の両方が関与することが知られています。固定除去後には、筋性拘縮は自然回復する一方で、関節性拘縮は多くの場合自然回復せず、短期間の固定除去後にはむしろ悪化します。関節内では、固定除去直後から炎症が生じ、それに続いて線維化が生じます。これが固定除去後にみられる関節性拘縮悪化の原因と考えられます。抗炎症薬や低反応レベルレーザーといった抗炎症治療は、炎症や線維化反応を抑制することで関節性拘縮の悪化を予防します。一方で、固定除去直後からの積極的な運動は、炎症や線維化反応を促進することで関節性拘縮を悪化させますが、運動によるこれらの悪影響は、抗炎症治療と組み合わせることで予防できます。そのため、固定除去後早期は、関節内の炎症をケアしつつ、無理のない範囲で動かしていく必要性が示唆されます。

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