在学生たちの今
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VOL.2

夢は障害者野球で日本代表のエース

義肢装具学専攻・3年生
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城 武尊 さん

※本記事は、学園広報誌「FLOW」No.83(2019.3.5発行)に掲載しています。

患者や障害者に寄り添える義肢装具士に

4年に1回開催される障害者野球の国際大会「世界身体障害者野球大会」が昨年9月、神戸市で行われ、城さんは日本代表として初めて世界の舞台に立ちました。第2戦の韓国戦で中継ぎとして1イニングを投げ、2奪三振の3者凡退で勝利に貢献。5カ国の総当たり戦に全勝した日本は見事に優勝を果たしました。

城さんは両腕に1本ずつある橈骨が生まれつき左腕だけなく、左手の親指と人差し指がない障害があり、ボールは右手で投げて右手で捕ります。それでも小・中学生時代は健常児と同じチームで、守備と走塁の得意な外野手として汗を流していました。スポーツセンスは抜群で、高校の時は障害者野球チーム・広島アローズと並行してバドミントン部にも所属し、呉市の大会で準優勝を飾るほどでした。

投手に変わることになったのは、広島アローズで日本代表でもあった投手がチームを離れることになり、後継に指名されたからです。「最初はストライクを入れるのも一苦労。本などで研究を重ねました」。その結果、ストレートの球速も125㎞/hに到達し、カーブ、スライダー、チェンジアップなどの変化球を操れるように。前回の国際大会日本代表には落選しましたが、そこから更に奮起しました。ランニングやトレーニングで肩や下半身の軸を徹底強化し、ピッチングも安定。各大会での活躍が評価されて念願の日本代表入りを果たしたのです。

「障害のある自分だからこそ、患者さんや障害者に自然と寄り添えるのではないか」と考え、今は義肢装具士を目指して勉強中です。両手が必要な製作実習では、これまで感じたことのない不自由さを感じることもありますが、独り立ちすることを念頭にあえて友人の助けは借りません。卒業研究のテーマは、片手に障害があってもグローブをスムーズに扱えるような補助具の開発です。

「選手が今より野球を楽しんで、パフォーマンスを向上させてほしい」との願いからです。
大学の軟式野球部主将も務めた城さん。「もっとレベルアップしていずれは障害者野球日本代表でエースとして投げたい」「少年野球で指導もしたい」と野球へ尽きることのない思いがキラリと光っています。

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