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リハビリテーション学科 理学療法学専攻

2024.2.19

「Acta Histochemica et Cytochemica」に金口瑛典講師らの論文2本の掲載が決まりました。

タイトル1:Effects of weight bearing on marrow adipose tissue and trabecular bone after anterior cruciate ligament reconstruction in the rat proximal tibial epiphysis(ラット前十字靭帯再建術後の荷重が脛骨近位部の骨髄脂肪組織と海綿骨に及ぼす影響)

 

掲載紙:Acta Histochemica et Cytochemica

 

著者:Akinori Kaneguchi, Kaoru Yamaoka, Junya Ozawa

 

論文の概要:骨髄は造血組織(赤色骨髄)と骨髄脂肪組織(黄色骨髄)に分けられます。骨髄脂肪組織は造血組織や骨が減少したときに間隙を埋めるフィルターと思われていましたが、最近では骨代謝に悪影響を及ぼすことが報告されています。先行研究で、ACL再建後には骨髄脂肪組織の増加と骨の減少が生じることが報告されています。メカニカルストレスは骨髄脂肪組織量や骨量の制御において重要な役割を担うと考えられていますが、膝前十字靭帯(以下、ACL)再建後の荷重量の違いが骨髄脂肪組織量や骨量に及ぼす影響はこれまで調べられていませんでした。本研究では、ラットACL再建後早期の荷重量の違いが骨髄脂肪組織と海綿骨に及ぼす影響を調査しました。ACL再建後、介入なし(痛みにより荷重量が部分的に減少した状態)で飼育すると、術後14日までに骨髄脂肪組織や海綿骨の量に有意な変化は生じませんでした。ACL再建後に免荷すると、術後14日までに骨髄脂肪組織が有意に増加しましたが、海綿骨量には影響しませんでした。ACL再建後にモルヒネ投与を投与し、痛みを軽減することで荷重量を増加させても、骨髄脂肪組織や海綿骨の量に有意な変化は生じませんでした。これらの結果から、術後早期から可能な範囲で荷重を行うことで骨髄脂肪組織の蓄積を軽減できることが示唆されます。

 

タイトル2:The effects of corticosteroid administration and treadmill exercise on marrow adipose tissue and trabecular bone after anterior cruciate ligament reconstruction in rats(ラット前十字靭帯再建術後のステロイド投与とトレッドミル運動が骨髄脂肪組織と海綿骨に及ぼす影響)

 

掲載紙:Acta Histochemica et Cytochemica

 

著者:Akinori Kaneguchi, Kaoru Yamaoka, Junya Ozawa

 

論文の概要:膝前十字靭帯(以下、ACL)損傷は代表的な膝外傷であり、多くは靱帯再建術により治療されます。術後の痛みや関節拘縮軽減のために、ステロイド性抗炎症薬が投与されることがあります。ステロイドの副作用として、脂質代謝異常や骨粗鬆症が知られていますが、ACL再建後短期間のステロイド投与が骨髄脂肪組織と骨に及ぼす影響はよく知られていませんでした。そこで本研究では、ラットACL再建後早期の短期間のステロイド投与が骨髄脂肪組織と海綿骨に及ぼす影響を調査しました。さらに、ステロイド投与による骨髄脂肪組織と海綿骨の変化は運動により軽減されるかどうかも調査しました。ACL再建後9日までステロイドを投与すると、術後10日時点で骨髄脂肪組織の蓄積が促進されましたが、海綿骨量には影響しませんでした。このステロイド投与による骨髄脂肪組織の蓄積は、ステロイド投与を中止すると21日以内に回復しました。トレッドミル運動はステロイド投与による骨髄脂肪組織の蓄積を軽減できませんでした。これらの結果は、1)ACL再建後短期間のステロイド投与は骨髄脂肪組織の蓄積を促進するが、海綿骨量には影響しない、2)短期間のステロイド投与による骨髄脂肪組織の蓄積は投与中止後に可逆的である、3)運動ではステロイド投与による骨髄脂肪組織の蓄積を軽減できないことを示唆します。

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